病弱書店

少し体が弱いです。本を紹介するブログです

自粛期間あっという間に終わる(濃厚接触の記録と地図のこと)

自粛期間中退屈したら、「中村市(なごむるし)」みたいな地図を考えてみるのもいいな。

そんな風に思ったのは、先週水曜日。

月曜の午後に保健所から電話が来て、「29日までの外出自粛要請」を受けた。

翌火曜日、PCR検査のキットが来て、唾液を入れたそれをその日のうちに保健所へ。

翌日水曜日には、「陰性」との結果が来たが、それでも29日までは外出を自粛してくれとのこと。

社会人になってから、10日間も休むのは初めてのことだ。

引っ張り出したのは、「東京人september2020 no.429」

 

江戸の古地図などを中心に、地図の魅力、地図での「エア散歩」を紹介した回。

当然、新型コロナウイルスに席巻された世界で、「STAY HOME」を楽しむための企画だ。

中でも面白かったのは「藤沢周平作品を旅する 地図から浮かび上がる光と影のリアリティ」。工学博士の波多野純さんが『江戸切絵図』を頼りに藤沢周平作品の舞台を案内。

他にも「ただ、町の様子や景色、、暮らしを想像するには、もう少し助けが必要である。景色や町並みを知るには、『江戸名所図会(ずえ)』(ちくま学芸文庫版が入手しやすい)がいい」とか「暮らしを知るには、『守貞謾稿(もりさだまんこう)』(岩波文庫に『近世風俗志』として所収)がいい」とエア散歩の参考になる江戸時代の本を紹介している。

中でもいいなと思ったのがこの一文。

『江戸名所絵図』について、日本橋を描いた絵は多いが、橋脚の数まで性格に史実と一致するのは、雪旦の絵しかない」

こういうことってとても大事だと思う。

小さな違和感ほど想像力の妨げになると思うから。

 

私がこの本を買ったのは、巻頭特集の鼎談「時空旅行の一歩は、作り手の意図を組むことから」を読むためだったのだけど、そこにも「違和感」という言葉が何回か登場する。

 

ここに「中村市」を作った今和泉隆行さんが空想地図作家として登場している。

 

今和泉さんは、7歳の時から空想の地図を書き始め、28年経った今もずっとその空想地図を書き直し、バージョンアップし続けている。

 

imgmap.chirijin.com

 

もう地図に留まらず、中村市辺りの銀行やコンビニ、路線バスまでロゴやコンビニの袋デザインまで作られているそうだ。

東京人の鼎談の中でおかしかったのは、地図専門家の小林政能さんが「中村市は川の合流地点にちょっと違和感を抱きました」と言ったのに対し、

 

今和泉「えっ、詳しく教えてください。書き直したいです」というのだけど、次の発言は東京スリバチ学会の皆川典久さんの「更新できるのが空想地図のいいところ」となっていて、話が長すぎたのかその「川の合流地点の違和感」には触れられないまま。

 

一つ地図を手にするだけで、或いは手にしなくても、いくつもの遊び方ができる。この雑誌をじっくり読んで空想散歩をし、あれやこれややっていなかったことに手をつけただけで、10日間もの自粛期間は、あっという間に終わってしまいそうだ。

 

そう。二年も手をつけていなかったこのブログを更新しただけでも大きな収穫としよう。

 

 

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